ステップ S3-3-1
濃度と可算集合
この ページで まなぶ こと
- 「全単射があれば同じ濃度」という個数の拡張がわかる
- 偶数・整数・有理数が自然数と同じ濃度(可算)であることがわかる
集合の「大きさ」は全単射の有無で比べる(濃度)。自然数と全単射がつく無限集合が可算集合。偶数も、整数も、なんと有理数さえも可算——無限では部分が全体と同じ大きさになる。
数えられないなら、対応させればいい
劇場の席がぜんぶ埋まっていて立ち見もいなければ、数えなくても「席の数=客の数」とわかる——1対1の対応(全単射)があるからだ。
この考えなら無限集合の大きさも比べられる。
全単射 f : A → B が存在するとき、AとBは同じ濃度(のうど)を持つという。有限集合なら濃度=個数。無限集合では、濃度が「個数」の代役になる。
偶数は自然数の「半分」……ではない
自然数 {1, 2, 3, …} と偶数 {2, 4, 6, …}。偶数は自然数の一部だから少ない——そう思える。でも f(n) = 2n という写像は、S3で確かめたとおり単射で、偶数への写像としては全射——つまり全単射だ。
\[1 \leftrightarrow 2, \quad 2 \leftrightarrow 4, \quad 3 \leftrightarrow 6, \quad \cdots\]もれもかぶりもないペア。よって自然数と偶数は同じ濃度。無限の世界では、部分が全体と同じ大きさになりうる——有限の常識が通用しない、無限の第一の驚きだ。
自然数と同じ濃度の集合を可算集合(数え上げられる集合)という。「1番目、2番目、…」と一列に並べられることと同じ意味だ。
整数も、有理数さえも可算
例1(整数) :0, 1, −1, 2, −2, 3, −3, … と交互に並べれば一列になる。整数は可算 ✓
例2(有理数) :正の分数 p/q を、p + q の小さい順に表に並べてジグザグにたどる:
\[\frac{1}{1},\ \frac{1}{2},\ \frac{2}{1},\ \frac{1}{3},\ \frac{2}{2},\ \frac{3}{1},\ \cdots\](既出の値はスキップ。)どの分数もいつかは必ず番号が付く——有理数も可算! 数直線上にびっしり詰まっている(N11:稠密)のに、濃度は自然数と同じ。「詰まり具合」と「多さ」は別の概念なのだ。
では、すべての無限集合は可算なのか? ——その答えは次のステップで。数学史上もっとも美しい証明のひとつが待っている。
よくあるまちがい
その1:「部分だから少ない」を無限に持ち込む。 有限集合では正しい直観(真部分集合は小さい)が、無限集合では崩れる。頼れるのは直観でなく全単射の有無だ。
その2:「並べ方が思いつかない=可算でない」と結論する。 有理数のように、並べ方が非自明なだけの可算集合がある。可算でないことを言うには、「どんな並べ方も失敗する」証明が要る——それが次のステップの対角線論法だ。
れんしゅう
集合の濃度が同じとは?
自然数と偶数の濃度は?
f(n) = 2n の対応で、7に対応する偶数は?
可算集合とは?
整数の集合は?
有理数の集合は?
0, 1, −1, 2, −2, 3, −3, … の並べ方で、7番目の整数は?(−3 のように書いてね)
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!