ステップ A3-3-1
数学的帰納法 — ドミノの論法
この ページで まなぶ こと
- 数学的帰納法の2つのステップの役割がわかる
- 和の公式などを帰納法で証明できるようになる
(1) n = 1 で成り立つことを示す。(2) n = k で成り立つと仮定して n = k + 1 でも成り立つことを示す。この2手で、すべての自然数について証明したことになる。
無限個の主張を、2手で
「すべての自然数nについて 1 + 2 + … + n = n(n + 1)/2」——n = 1、2、3、…と無限にある主張を、ぜんぶ確かめることはできない。
そこでドミノ倒しを思い浮かべよう。無限に並んだドミノをすべて倒すには、2つのことを確認すれば足りる。
- 最初の1枚が倒れる
- どの1枚についても、それが倒れたら次の1枚も倒れる
この2つがそろえば、1枚目 → 2枚目 → 3枚目 → …と、すべてが倒れる。これを証明の形式にしたのが数学的帰納法だ:
- [1] n = 1 のとき成り立つことを示す
- [2] n = k のとき成り立つと仮定して、n = k + 1 のときも成り立つことを示す
借りを返す — 和の公式の証明
例1 :1 + 2 + … + n = n(n + 1)/2 を証明しよう。
[1] n = 1:左辺 = 1、右辺 = 1 × 2/2 = 1。成立 ✓
[2] n = k で成立すると仮定する:1 + 2 + … + k = k(k + 1)/2。
このとき n = k + 1 の左辺は——
\[\underbrace{1 + 2 + \cdots + k}_{仮定がつかえる!} + (k + 1) = \frac{k(k+1)}{2} + (k+1)\](k + 1) でくくると(因数分解!)——
\[= (k+1)\left(\frac{k}{2} + 1\right) = \frac{(k+1)(k+2)}{2}\]これは公式の n に k + 1 を入れた形そのもの。つまり n = k + 1 でも成立 ✓
[1][2]より、すべての自然数nで成立する。∎
ガウスの「逆順にたす」(A3の最初)とはまったく別の道で、同じ公式にたどり着いた。発見の方法(ガウス)と証明の方法(帰納法)——両方持っていることが数学の強さだ。
例2 :「2ⁿ > n がすべての自然数で成り立つ」も同じ型で証明できる。[1] 2¹ = 2 > 1 ✓。[2] 2ᵏ > k と仮定すると 2ᵏ⁺¹ = 2 × 2ᵏ > 2k ≧ k + 1(k ≧ 1 だから)✓。
仮定するのは「ずるく」ない
[2]で「n = k で成り立つと仮定」と聞くと、証明したいことを先に使う循環論法に見えるかもしれない。でもちがう——[2]が示すのは「もしk枚目が倒れるなら、k+1枚目も倒れる」という条件つきの主張(S2の「ならば」!)だけ。実際に倒すのは[1]の最初の1枚。2つが組み合わさって、はじめて全部が倒れる。
よくあるまちがい
その1:[1]を省略する。 「倒れたら次も倒れる」だけでは、1枚も倒れていないかもしれない。実際、「n + 1 = n + 2」のような偽の主張でも[2]型の推論は書けてしまう(両辺に1をたすだけ)。[1]がないと帰納法は無効だ。
その2:[2]で仮定を使わない。 仮定 k(k + 1)/2 を使わずに直接計算しようとして行き詰まるパターン。帰納法のうまみは「前の段の結果を使ってよい」こと——左辺の中に「k までの和」の形を見つけて置き換えるのが定石。
れんしゅう
数学的帰納法の2つのステップは?
ドミノのたとえで「n = k で成立すると仮定して k + 1 でも成立を示す」に当たるのは?
和の公式の証明で、n = 1 のとき右辺 1 × (1 + 1)/2 = ?
[2]で 1 + … + k + (k + 1) = k(k + 1)/2 + (k + 1) = (k + 1)(k + □)/2。□は?
[1](最初の1枚)を省略した帰納法は?
2ⁿ > n の証明の[1]で確かめる不等式は 2 > □。□は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!