ステップ P4-3-1
仮説検定の論理
この ページで まなぶ こと
- 帰無仮説・対立仮説・有意水準・p値の役割がわかる
- コイン検定を自分で実行できるようになる
示したい主張の否定(帰無仮説)を仮定し、観測データ以上に極端なことが起こる確率(p値)を計算。p値が有意水準(5%など)未満なら帰無仮説を棄却——「偶然では説明しにくい」の定量化。
疑いから始める — 背理法の確率版
コインを20回投げたら表が16回。「いかさまだ!」と言いたい。でも公正なコインでも偶然16回出ることはありうる。どう判定する?
統計の型はこうだ。まず、言いたいことの否定を仮定する:
帰無仮説 H₀ :コインは公正(p = 1/2) 対立仮説 H₁ :コインは公正でない
そして問う——「H₀が正しいとして、観測された結果(かそれ以上に極端な結果)は、どれくらい起こりにくいか?」
この確率をp値という。p値が、あらかじめ決めた基準(有意水準、ふつう5%)より小さければ——「公正なコインでこれは起こりにくすぎる」——H₀を棄却し、有意差ありと結論する。
√2の無理数性の証明(S2)を思い出そう:「有理数と仮定→矛盾→仮定を棄てる」。検定は「H₀と仮定→確率的にほぼ矛盾(p < 5%)→H₀を棄てる」——背理法の確率版だ。
コイン検定を実行する
例1 :20回中16回表。H₀(公正)のもとで、表の回数は期待値 np = 10、標準偏差 √(np(1−p)) = √5 ≒ 2.24(P3)。観測の16回は——
\[z = \frac{16 - 10}{2.24} \approx 2.7\]平均から2.7σも離れている。正規分布で±2σの外は約5%、±2.7σの外は約0.7%——p値 ≒ 0.7% < 5%。棄却! 「このコインが公正とは考えにくい」と、確率の裏付けつきで言える。
例2 :20回中12回表なら? z = 2/2.24 ≒ 0.9——±1σ以内はざらに起こる(p値 ≒ 37%)。棄却できない。ここが大事:「H₀を棄却できない」は「H₀が正しいと証明された」ではない。「疑うには証拠不足」——無罪判決ではなく証拠不十分、が正しい読みだ。
2種類の誤りと、5%の意味
検定は確率の判定だから、まちがえることがある:
- 第1種の誤り :本当は公正なのに「いかさま」と誤断(冤罪)——この確率が有意水準5%そのもの
- 第2種の誤り :本当はいかさまなのに見逃す
有意水準を厳しく(1%に)すれば冤罪は減るが見逃しが増える——トレードオフだ。5%は慣習であって自然法則ではない。近年の科学界では「p < 0.05 の機械的な使用」への反省も進んでいる——道具の限界ごと理解して使うのが、ハイウェイ卒業生の作法だよ。
よくあるまちがい
その1:p値を「H₀が正しい確率」と読む。 p値は「H₀が正しいとしたときの、データの起こりにくさ」。条件と結論が逆——条件付き確率(P2)の向きの取り違えだ。
その2:棄却できない=H₀の証明、と読む。 例2のとおり、単なる証拠不足かもしれない。「有意差なし」は「差がない」ことの証明ではない。
れんしゅう
帰無仮説とは?
コイン20回で表の回数の期待値は?(H₀:公正)
16回表のときの z = (16 − 10)/2.24 ≒ 2.□。□は?
p値 = 0.7%、有意水準5%のとき?
「棄却できない」の正しい読みは?
有意水準5%の意味は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!