ステップ P4-4-1

最小二乗法と回帰直線

この ページで まなぶ こと

  • 最小二乗法の考え方(ずれの2乗和を最小化)がわかる
  • 回帰直線の傾きと切片を求め、予測に使えるようになる

回帰直線 y = ax + b は「予測のずれの2乗和」を最小にする直線。偏微分(A7)で最小化すると、傾き a = (共分散)/(xの分散)、直線は必ず平均点 (x̄, ȳ) を通る。r² が「説明できた割合」。

いちばんよく合う直線とは

勉強時間 x とテストの得点 y のデータが散布図に打たれている。右上がりの傾向はある——予測に使える直線 y = ax + b を引きたい。「よく合う」を数学の言葉にしよう。

各データ点での予測のずれ(残差)は yᵢ − (axᵢ + b)。ずれの合計は正負で打ち消し合うから、2乗してたす(分散のときと同じ発想!):

\[L(a, b) = \sum \{y_i - (ax_i + b)\}^2\]

このLを最小にする a、b を選ぶ——最小二乗法だ。

偏微分が直線を決める

L は a と b の2変数関数。最小点では ∂L/∂a = 0、∂L/∂b = 0(A7の停留点!)。この2本の連立一次方程式(正規方程式——L1の出番)を解くと——

\[a = \frac{x と y の共分散}{x の分散} \qquad b = \bar{y} - a\bar{x}\]

bの式を見ると、回帰直線は必ず平均点 (x̄, ȳ) を通る——雲の重心を貫く直線だ。そして傾き a の分子は共分散——相関係数(前々たんげん)の親戚。r が正なら直線も右上がり、r = 0 なら傾き0。役者がぜんぶつながった。

例1 :データ(1, 2)(2, 4)(3, 6)。完全に一直線上にある。x̄ = 2、ȳ = 4、共分散 = ((−1)(−2) + 0 + (1)(2))/3 = 4/3、xの分散 = 2/3。a = 2、b = 4 − 4 = 0——y = 2x ✓ ずれゼロの完全再現。

例2 :データ(1, 3)(2, 4)(3, 8)。x̄ = 2、ȳ = 5。共分散 = ((−1)(−2) + 0 + (1)(3))/3 = 5/3、xの分散 = 2/3。a = 5/2、b = 0——回帰直線 y = 2.5x。x = 4 の予測は 10

検算:平均点 (2, 5) を通るか。2.5 × 2 = 5 ✓

r² — どれだけ説明できたか

回帰の性能は決定係数 r²(相関係数の2乗)で測る:「yのばらつきのうち、直線で説明できた割合」。r = 0.9 なら r² = 0.81——81%を直線が説明し、残り19%はほかの要因や偶然。r² = 1 は完全な直線関係(例1)、r² = 0 は直線ではまったく説明できない。

ここから機械学習へ

「モデル(直線)を仮定し、ずれの2乗和を損失関数として最小化する」——この設計図は、そのまま機械学習の骨格だ。直線を曲線やニューラルネットに替え、偏微分による最小化を勾配降下法(A7)で行えば、現代のAIになる。数学ハイウェイの終点は、次の高速道路の入り口につながっている。

そして忘れずに——回帰は相関の親戚であって、因果を証明しない(前々たんげんの教え)。「勉強時間が得点を上げる」と言い切るには、直線の先にもう一歩の検討がいる。道具の力と限界の両方を携えて、卒業だ。

よくあるまちがい

その1:ずれの「和」を最小化しようとする。 正負で打ち消して意味をなさない。2乗和——分散・標準偏差以来の「2乗の物差し」がここでも本質だ。

その2:回帰直線で外挿しすぎる。 例2で x = 100 の予測 250 は信用できない——データの範囲(1〜3)のはるか外だ。モデルはデータが見た世界の中でだけ確かめられている。

れんしゅう

Q1 きほん

最小二乗法が最小化するのは?

Q2 きほん

回帰直線が必ず通る点は (x̄, □)。□は?

Q3 きほん

データ(1, 2)(2, 4)(3, 6)の回帰直線 y = □x。□は?

Q4 ふつう

回帰直線 y = 2.5x で x = 4 の予測値は?

Q5 ふつう

r = 0.9 のとき決定係数 r² = 0.□1。□は?

Q6 ふつう

最小化に使った数学は?

Q7 チャレンジ

回帰から言えないことは?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。