ステップ A5-1-1

いろいろな極限と はさみうちの原理

この ページで まなぶ こと

  • x → ∞ や片側からの極限を扱えるようになる
  • はさみうちの原理と sin x/x → 1 をつかえるようになる

x → ∞ でも「分母の主役でわる」定石は同じ。行き先が直接わからないときは、両側から同じ値に収束する関数ではさむ(はさみうちの原理)。その最高傑作が lim (x→0) sin x/x = 1。

無限の彼方の行き先

x → ∞ の極限も、数列のときの定石がそのまま効く:分母の主役でわる

例1 :lim (x→∞) (3x + 1)/(x + 2) = lim (3 + 1/x)/(1 + 2/x) = 3

グラフの言葉では「y = 3 が漸近線」。反比例のグラフ(A1)が軸に張りつく、あの景色の一般化だ。

例2 :lim (x→∞) 1/2ˣ = 0(指数関数の減衰——A2)。lim (x→∞) log₂x = ∞(ゆっくりだが、どこまでも育つ)。

片側極限という道具も足しておく。x = 0 へ右から近づくとき 1/x → +∞、左からなら −∞。両側の行き先が違うから「lim (x→0) 1/x」は存在しない——近づく向きまで指定してはじめて語れる極限がある。

はさみうちの原理 — 両側から追いつめる

行き先が直接計算できない関数も、行き先のわかる2つの関数ではさめれば確定する。

g(x) ≦ f(x) ≦ h(x) で、g と h が同じ値αに収束するなら、f もαに収束する。

これをはさみうちの原理という。両側の壁が同じ場所に閉じるなら、中身も逃げ場がない。

例3 :lim (x→∞) (sin x)/x = ? sin x は −1 と 1 の間を揺れ続けて収束しない。でも——

\[-\frac{1}{x} \le \frac{\sin x}{x} \le \frac{1}{x}\]

両側とも 0 に収束。よって 0。暴れる関数も、1/x の壁にはさまれて沈む。

名極限 sin x/x → 1

x → 0 では話が変わる。sin x/x は 0/0 の形——約分もできない。ここで幾何の出番だ。

単位円の角x(ラジアン)について、面積を比べると 三角形 < 扇形 < 大きい三角形 が成り立ち——

\[\frac{\sin x}{2} < \frac{x}{2} < \frac{\tan x}{2}\]

整理すると cos x < sin x/x < 1(逆数をとって sin x をかけた)。x → 0 で cos x → 1。両側が1に閉じた——はさみうちで——

\[\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1\]

「小さい角では sin x ≒ x」。角をラジアンで測ったからこそ、比がぴったり1になる(度のままなら π/180 が混入する)。A2で「ラジアンの決定的な理由は微分のときに」と予告した、その伏線がここで回収された。

例4 :lim (x→0) sin 3x/x = lim 3・(sin 3x/3x) = 3 × 1 = 3。中身と分母をそろえるのがコツ。

よくあるまちがい

その1:∞に飛ぶ項があると全体も∞と思う。 (3x + 1)/(x + 2) は分子も分母も∞行きだが、比は3に落ち着く。∞/∞ はわってから判定。

その2:sin x/x = 1 を「約分した」と誤解する。 sinの中のxと分母のxは約分できない(sinは掛け算ではない!)。この1は、はさみうちが勝ち取った極限の値だ。

れんしゅう

Q1 きほん

lim (x→∞) (3x + 1)/(x + 2) = ?

Q2 きほん

lim (x→∞) 1/2ˣ = ?

Q3 きほん

lim (x→0) sin x/x = ?

Q4 ふつう

lim (x→0) sin 5x/x = ?

Q5 ふつう

lim (x→∞) sin x/x = ?

Q6 ふつう

はさみうちの原理がつかえる条件は?

Q7 チャレンジ

lim (x→∞) (5x² + x)/(x² + 1) = ?

もっと れんしゅう

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