ステップ S3-2-1

同値関係と類別

この ページで まなぶ こと

  • 同値関係の3条件(反射・対称・推移)がわかる
  • 同値関係が集合を類別することと mod n の計算がわかる

反射律(自分と同じ)・対称律(向きを返せる)・推移律(つなげる)をみたす関係が同値関係。同値関係は集合をもれなく重複なくグループ(同値類)に切り分ける。代表例が mod n——余りで仕分ける世界。

「同じとみなす」の条件

「=」以外にも、数学は色々なものを「同じ」扱いしてきた。合同な三角形(G3)、相似な図形、約分したら等しい分数 1/2 と 2/4(N4)、17時と5時(N2の時計)……。

これらの「同じとみなす」に共通する骨格を抜き出そう。関係〜が同値関係であるとは:

  1. 反射律 :a 〜 a(自分は自分と同じ)
  2. 対称律 :a 〜 b なら b 〜 a(向きを返せる)
  3. 推移律 :a 〜 b かつ b 〜 c なら a 〜 c(つなげる)

例1 :「合同」は3条件をみたす ✓ 「相似」も ✓ では「x < y」は? 反射律が崩れる(x < x は偽)——同値関係ではない。「xはyの友だち」は? 推移律があやしい(友だちの友だちは友だちとは限らない)——日常の関係は案外きびしい。

同値関係は、世界を切り分ける

同値関係があると、集合は「互いに同値なものの集まり」——同値類——にもれなく、重複なく分割される(類別)。

なぜ重複しないか。もし2つのグループに共通要素cがあれば、対称律と推移律でグループ全体がつながって1つになってしまうから。3条件は、まさに「きれいに切り分けられる」ための必要十分な骨格なのだ。

最良の見本 — mod n

整数の関係「a 〜 b ⇔ a − b が n の倍数」(a ≡ b (mod n) と書く)は同値関係だ。「nでわった余りが同じ」という意味になる。

例2 :mod 3 で整数を類別すると——

  • 余り0組:…、−3、0、3、6、9、…
  • 余り1組:…、−2、1、4、7、10、…
  • 余り2組:…、−1、2、5、8、11、…

無限にある整数が、たった3つの同値類に切り分けられた。

例3 :今日が水曜日なら、100日後は何曜日? 100 = 7 × 14 + 2 だから 100 ≡ 2 (mod 7)——2日後とおなじ金曜日。無限の日々を7つの類で扱う——曜日は人類最古の mod 計算だ。

例4 :mod の世界では計算もできる。余り同士をたしてよい:25 + 38 = 63 の mod 7 は、4 + 3 = 7 ≡ 0。実際 63 = 7 × 9 ✓ 「大きい数の余り」が「余りの計算」で出せる——この仕組みは暗号(RSA)の心臓部でもある。

分数の世界も実は類別だった:1/2、2/4、3/6、…は「約分すれば同じ」という同値関係のひとつの同値類。「分数」とは同値類に付けた名前だったのだ(N4の約分の正体!)。

よくあるまちがい

その1:3条件の確認を飛ばす。 「なんとなく同じっぽい」関係が3条件をみたすとは限らない(友だち関係の推移律)。同値関係と呼ぶ前に、3つを1つずつ確かめる。

その2:mod の計算で余りを最後にとる。 どちらでもよい(それが定理のありがたみ)が、大きい数を掛けてから余りをとるより、先に余りにしてから計算するほうが圧倒的に楽。25 × 38 (mod 7) は 4 × 3 = 12 ≡ 5。

れんしゅう

Q1 きほん

同値関係の3条件は?

Q2 きほん

「x < y」が同値関係でない理由は?

Q3 きほん

mod 3 の同値類はいくつある?

Q4 ふつう

100 ≡ □ (mod 7)。□は?

Q5 ふつう

25 + 38 ≡ □ (mod 7)。□は?

Q6 ふつう

水曜日の100日後は?

Q7 チャレンジ

25 × 38 ≡ □ (mod 7)。□は?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。