ステップ L1-3-1
2次の行列式 — 面積の拡大率
この ページで まなぶ こと
- det A = ad − bc の図形的な意味(符号つき面積)がわかる
- 行列式で逆行列の存在と連立方程式の解の型を判定できるようになる
det A = ad − bc は、2つの列ベクトル (a, c)、(b, d) が張る平行四辺形の符号つき面積=変換Aの面積拡大率。det ≠ 0 ⇔ 逆行列あり ⇔ 連立方程式が一意に解ける。
ad − bc の正体
| 逆行列の分母に現れた ad − bc。この数を行列式といい、det A や | A | と書く。 |
| 正体を明かそう。行列Aの2つの列ベクトル (a, c) と (b, d) を平面に描くと、平行四辺形が張られる。その面積が | ad − bc | なのだ。 |
例1 :A = [[2, 0], [0, 3]]。列ベクトルは (2, 0) と (0, 3)——2×3の長方形。det A = 6 = 面積 ✓
例2 :A = [[2, 1], [1, 3]]。det A = 6 − 1 = 5。斜めの平行四辺形の面積が、公式ひとつで出た(G5で三角形の面積を座標から求めた、あの計算の完成形だ)。
変換として読むと:Aは単位正方形(面積1)をこの平行四辺形にうつす。つまり det A = 面積の拡大率。det = 5 の変換は、あらゆる図形の面積を5倍にする。
符号にも意味がある。det < 0 は「裏返し」(鏡うつし)を含む変換。だから行列式は符号つき面積という。
det = 0 = ぺしゃんこ
det A = 0 とはどういう状況か。面積0——2つの列ベクトルが同一直線上に並び、平行四辺形がつぶれている。
例3 :A = [[2, 4], [1, 2]]。det = 4 − 4 = 0。列ベクトル (2, 1) と (4, 2) は平行(一方が他方の2倍)——たしかにつぶれる。
つぶれた変換は元に戻せない(平面全体が1本の直線に押しつぶされ、どこから来たか分からなくなる)。これが「det = 0 なら逆行列なし」の図形的な理由だ。さらに——
\[\det A \neq 0 \iff A^{-1}\text{ が存在} \iff 連立方程式 A\vec{x} = \vec{b} \text{ が一意に解ける}\]前たんげんの「解の3つの型」ともつながった:det ≠ 0 なら一意、det = 0 なら不定か不能(つぶれた方向しだい)。1つの数が、行列の運命をすべて予言する。
例4 :連立方程式 2x + y = 5、5x + 3y = 13 は一意に解けるか? 係数行列の det = 6 − 5 = 1 ≠ 0——一意に解ける(解く前にわかる!)。
よくあるまちがい
その1:ad − bc の符号の混乱。 「左上×右下から右上×左下を引く」。たすき掛けの向きを固定しよう。det [[1, 2], [3, 4]] = 4 − 6 = −2。
その2:det(A + B) = det A + det B と思う。 行列式は和を保たない(積は保つ:det(AB) = det A・det B——拡大率の合成はかけ算、と考えれば自然)。
れんしゅう
det [[2, 1], [1, 3]] = ?
det [[1, 2], [3, 4]] = ?(−2 のように書いてね)
det [[2, 4], [1, 2]] = ?
列ベクトル (3, 0) と (0, 4) が張る長方形の面積は?
det A = 0 の変換は?
det A = 3、det B = 4 のとき det(AB) = ?
連立方程式の係数行列 [[2, 1], [5, 3]] の det は?(≠ 0 なら一意に解ける)
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!