ステップ L1-3-2

3次の行列式と余因子展開

この ページで まなぶ こと

  • サラスの方法で3次の行列式を計算できるようになる
  • 余因子展開の考え方(大きい行列式を小さく割る)がわかる

3×3の行列式は体積の拡大率。サラスの方法(右下がり3本の積の和 − 右上がり3本の積の和)か、第1行での余因子展開(各成分×小さい行列式、符号は+−+)で計算する。

3次元では「体積の拡大率」

3×3行列の行列式は、3つの列ベクトルが張る平行六面体の符号つき体積——2次の「面積」が、そのまま次元アップする。det = 0 なら空間がぺしゃんこ(平面以下)につぶれ、逆行列なし。意味は完全に同じだ。

計算法を2つ紹介しよう。

サラスの方法 — たすきを3本ずつ

\[\det\begin{pmatrix} a & b & c \\ d & e & f \\ g & h & i \end{pmatrix} = aei + bfg + cdh - ceg - bdi - afh\]

右下がりの3本(aei、bfg、cdh)をたし、右上がりの3本(ceg、bdi、afh)を引く。2次のたすき掛けの3次版だ。

例1

\[\det\begin{pmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 0 & 1 & 1 \\ 2 & 0 & 1 \end{pmatrix}\]

右下がり:1・1・1 = 1、2・1・2 = 4、0・0・0 = 0 → 和5。右上がり:0・1・2 = 0、1・1・0 = 0、2・0・1 = 0 → 和0。det = 5 − 0 = 5

注意:サラスの方法は3次専用。4次以上には使えない(うっかり拡張すると誤る有名な罠だ)。

余因子展開 — 大きい問題を小さく割る

もうひとつの方法は、どの次数にも通じる王道だ。第1行に沿って——

\[\det = a \cdot \det\begin{pmatrix} e & f \\ h & i \end{pmatrix} - b \cdot \det\begin{pmatrix} d & f \\ g & i \end{pmatrix} + c \cdot \det\begin{pmatrix} d & e \\ g & h \end{pmatrix}\]

各成分に「その行と列を消して残る2×2の行列式」を掛け、+ − + の符号でたす。3次が2次に、(4次なら3次に)——再帰的に次数が下がっていく。

例2 :例1と同じ行列で。

\[1 \cdot \det\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} - 2 \cdot \det\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 2 & 1 \end{pmatrix} + 0 = 1(1) - 2(0 - 2) + 0 = 5\]

サラスと一致 ✓ 2つの方法が同じ答えを出す——検算のペアとして最強だ。

例3 :対角行列 [[2, 0, 0], [0, 3, 0], [0, 0, 4]] の det = 2・3・4 = 24。対角成分の積——2×3×4の直方体の体積そのもの。

よくあるまちがい

その1:余因子展開の符号。 + − + − …の市松模様。第1行の2番目にはマイナスがつく。忘れると例2の 0 − 2 の項の符号がずれる。

その2:サラスを4次に使う。 4次の行列式の項は24個ある(サラス式のたすきでは8本しか拾えない)。4次以上は余因子展開か行基本変形で。

れんしゅう

Q1 きほん

det [[2, 0, 0], [0, 3, 0], [0, 0, 4]] = ?

Q2 きほん

det [[1, 2, 0], [0, 1, 1], [2, 0, 1]] = ?

Q3 きほん

3次の行列式の図形的な意味は?

Q4 ふつう

余因子展開(第1行)の符号のならびは +、□、+。□は?

Q5 ふつう

det [[1, 0, 0], [0, 2, 0], [0, 0, 5]] = ?

Q6 チャレンジ

det [[1, 1, 1], [0, 2, 1], [0, 0, 3]] = ?

もっと れんしゅう

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