ステップ L1-2-1

掃き出し法

この ページで まなぶ こと

  • 拡大係数行列と行基本変形がわかる
  • 掃き出し法で連立一次方程式を解けるようになる

方程式を拡大係数行列にして、(1) 行の入れかえ (2) 行の定数倍 (3) ある行に別の行の定数倍をたす——3つの行基本変形だけで [E | 解] の形まで掃き出す。加減法の完全機械化。

加減法を、作業台に載せる

\[\begin{cases} x + 2y = 5 \\ 3x + 4y = 11 \end{cases}\]

N9の加減法で解ける。でも、xやyの文字を毎回書き写すのは無駄が多い。係数と右辺の数だけを行列に並べよう:

\[\left(\begin{array}{cc|c} 1 & 2 & 5 \\ 3 & 4 & 11 \end{array}\right)\]

これを拡大係数行列という。加減法の操作は、この行列のへの操作に対応する:

  1. 行を入れかえる(式の順序を変える)
  2. 行を0でない数で倍する(式の両辺を倍する)
  3. ある行に、別の行の定数倍をたす(式どうしをたし引きする)

この3つを行基本変形という。どれも「方程式の解を変えない操作」(等式の性質——N9)の行列版だ。

掃き出してみる

目標:左側を単位行列の形にする。そうなれば右側が答えだ。

手順1:第2行から第1行の3倍を引く(xの係数を掃き出す):

\[\left(\begin{array}{cc|c} 1 & 2 & 5 \\ 0 & -2 & -4 \end{array}\right)\]

手順2:第2行を −1/2 倍:

\[\left(\begin{array}{cc|c} 1 & 2 & 5 \\ 0 & 1 & 2 \end{array}\right)\]

手順3:第1行から第2行の2倍を引く(yを掃き出す):

\[\left(\begin{array}{cc|c} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 2 \end{array}\right)\]

左が単位行列になった。読み戻すと x = 1、y = 2。掃き出し法(ガウスの消去法)完成だ。

検算:もとの式へ。1 + 4 = 5 ✓、3 + 8 = 11 ✓

3本でも同じ手順

例1 :未知数3つでも、やることは変わらない——左上から順に、各列を「1、その下は0」に掃き出していくだけ。

\[\begin{cases} x + y + z = 6 \\ y + z = 5 \\ z = 3 \end{cases}\]

すでに階段の形(階段行列)だ。下からz = 3 → y = 5 − 3 = 2 → x = 6 − 5 = 1。階段の形まで掃き出せば、あとは下から代入で流れ落ちる。

加減法(N9)では2本が限界に感じた連立方程式が、同じ3操作のくり返しで何本でも解ける。手順が完全に機械的だから、コンピュータに任せられる——気象予報も構造計算も、内部ではこの掃き出しが毎秒何億回も走っている。

よくあるまちがい

その1:右辺の数を変形に巻き込み忘れる。 行基本変形は行全体(縦棒の右も含めて)に施す。係数だけ変えて右辺を忘れると、答えがずれる。

その2:「行の変形」と「列の変形」の混同。 使ってよいのはの変形だけ。列を入れかえると未知数の順序が変わってしまう(管理すれば可能だが、初学のうちは行だけと約束しよう)。

れんしゅう

Q1 きほん

x + 2y = 5、3x + 4y = 11 の拡大係数行列の (2, 2) 成分は?

Q2 きほん

第2行 − 第1行×3 のあとの第2行は (0, −2, □)。□は?(−4 のように書いてね)

Q3 きほん

この連立方程式の解の x は?

Q4 きほん

y は?

Q5 ふつう

x + y + z = 6、y + z = 5、z = 3 の x は?

Q6 ふつう

行基本変形で許されない操作は?

Q7 チャレンジ

2x + y = 7、x − y = 2 を掃き出しで解くと x = ?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。