ステップ A6-3-1
平均値の定理
この ページで まなぶ こと
- ロルの定理と平均値の定理の主張がわかる
- 「f′ > 0 なら増加」を平均値の定理で証明できるようになる
平均値の定理:[a, b] で連続、(a, b) で微分可能なら、f(b) − f(a) = f′(c)(b − a) となる c が途中にある。「平均の傾き=どこかの瞬間の傾き」。これが微分と関数の増減をつなぐ蝶番。
平均の速さと、瞬間の速さ
2時間で120km走った車の平均時速は60km。では走行中のどこかで、スピードメーターがちょうど60kmを指した瞬間はあるか?——あるに決まっている。ずっと60超なら平均も60を超え、ずっと60未満なら平均も届かないから。
この直観の定式化が平均値の定理だ:
f が [a, b] で連続、(a, b) で微分可能なら——
\[\frac{f(b) - f(a)}{b - a} = f'(c) \quad となる c が (a, b) に存在する\]左辺は平均の傾き(割線の傾き)、右辺はどこかの瞬間の傾き(接線)。図で言えば「割線と平行な接線が途中に必ず引ける」。
証明の土台は、両端の値が等しい特別な場合——ロルの定理(f(a) = f(b) なら f′(c) = 0 となる c がある)。最大値の定理(前たんげん!)で最大点をとれば、そこが内部にあれば傾き0。一般の場合は、グラフから割線を引いた関数にロルを適用すればよい。最大値の定理 → ロル → 平均値——定理が定理を生む連鎖だ。
「f′ > 0 なら増加」に保証書を
A4からずっと使ってきた増減の原理を、ついに証明できる。
区間で f′ > 0 とする。任意の2点 x₁ < x₂ をとると、平均値の定理で——
\[f(x_2) - f(x_1) = f'(c)(x_2 - x_1) > 0 \quad (f'(c) > 0、x_2 - x_1 > 0)\]つまり f(x₁) < f(x₂)——増加 ∎ 増減表もグラフの議論も、この一行の上に立っていた。
例1 :同様に「区間で f′ = 0 なら f は定数」も出る(差が f′(c)(x₂ − x₁) = 0)。だから「微分して同じ関数は定数差しかない」——不定積分の +C(A4)の正当化がこれだ。
例2 :不等式の証明にも使える。x > 0 で eˣ > 1 + x を示すには、g(x) = eˣ − 1 − x が g(0) = 0、g′(x) = eˣ − 1 > 0(x > 0)で増加だから g(x) > 0 ∎ ——N11の「差をとる」戦法が、微分と合体して強化された。
例3 :f(x) = x² の [1, 3] で平均値の定理の c を求めると、平均の傾き (9 − 1)/2 = 4 = f′(c) = 2c より c = 2。ちゃんと区間の内部にある ✓
よくあるまちがい
その1:cの場所がわかると思う。 定理は「存在する」としか言わない(存在定理——中間値の定理と同じ型)。それでも役に立つのは、例1・2のように「どこかにあるだけで結論が出る」使い方をするからだ。
| その2:微分可能の条件を忘れる。 f(x) = | x | は [−1, 1] で連続だが x = 0 で微分不可能。平均の傾き0の接線はどこにもない(傾きは±1だけ)——条件が欠けると定理は崩れる。 |
れんしゅう
平均値の定理の主張は?
f(x) = x² の [1, 3] での平均の傾きは?
そのとき f′(c) = 4 となる c は?
「f′ > 0 なら増加」の証明に使うのは?
「区間で f′ = 0 なら f は定数」が正当化するのは?
f(x) = x³ の [0, 3] で平均の傾きは9。f′(c) = 3c² = 9 となる正の c は √□。□は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!