ステップ A6-4-1

無限級数の収束と発散

この ページで まなぶ こと

  • 級数の収束を部分和の極限として定義できる
  • 無限等比級数の和と、調和級数の発散がわかる

無限級数 Σaₙ の値は「部分和 Sₙ の極限」。|r| < 1 の無限等比級数は a/(1 − r) に収束。項が0に近づいても発散しうる——調和級数 1 + 1/2 + 1/3 + … は∞。

無限個たすとは、どういうことか

\[\frac{1}{2} + \frac{1}{4} + \frac{1}{8} + \frac{1}{16} + \cdots\]

ケーキを半分食べ、残りの半分を食べ、また残りの半分を……。いつまでも食べ終わらないが、食べた総量は1個に限りなく近づく

無限級数の値はこう定義する:はじめのn項の和(部分和 Sₙ)の極限

\[\sum_{n=1}^{\infty} a_n = \lim_{n \to \infty} S_n\]

「無限個を一度にたす」魔法ではなく、「有限の和の行き先」——極限(ε-N!)に仕事を任せるのだ。

無限等比級数 — 公式が出る

等比数列の和の公式(A3)Sₙ = a(1 − rⁿ)/(1 − r) で n → ∞ とすると、 r < 1 なら rⁿ → 0(A4の基本極限)だから——
\[\sum_{n=1}^{\infty} ar^{n-1} = \frac{a}{1 - r} \qquad (|r| < 1)\]

例1 :1/2 + 1/4 + … = (1/2)/(1 − 1/2) = 1。ケーキの直観と一致 ✓

例2 :0.999… = 9/10 + 9/100 + … = (9/10)/(1 − 1/10) = 1。A4で極限として見た事実が、級数の公式からも出た。循環小数を分数に直す仕組み(N11)の正体は無限等比級数だったのだ。

例3 r ≧ 1 なら部分和は暴走または振動して発散。1 − 1 + 1 − 1 + … に「答え」はない(部分和が 1, 0, 1, 0, …と振動)。

調和級数 — 直観を裏切る発散

\[1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \cdots\]

項はどんどん0に近づく。収束しそう——ところが発散する。オレームの見事な証明:項をグループにまとめる。

\[1 + \frac{1}{2} + \underbrace{\left(\frac{1}{3} + \frac{1}{4}\right)}_{> 1/2} + \underbrace{\left(\frac{1}{5} + \cdots + \frac{1}{8}\right)}_{> 1/2} + \cdots\]

各グループが 1/2 を超える(最小の項×個数で下から評価)。1/2 を無限回たせるから、和は

教訓:「項が0に近づく」は収束の必要条件であって十分条件ではない(S2の必要・十分の言葉が急所を突く)。逆は成り立つ——収束するなら項は0に近づく。だから「項が0に近づかない級数」は即座に発散と判定できる。

例4 :Σ n/(n + 1) は項が1に近づくので発散(一目でわかる)。

よくあるまちがい

その1:項→0 だから収束、と結論する。 調和級数が永遠の反例。項の減り方の速さが問題で、1/n では遅すぎる(1/n² なら収束する——次ステップ)。

**その2: r ≧ 1 で公式を使う。** a/(1 − r) は r < 1 専用。r = 2 で「1 + 2 + 4 + … = −1」という珍答が出たら、適用条件を破った合図だ。

れんしゅう

Q1 きほん

1/2 + 1/4 + 1/8 + … = ?

Q2 きほん

初項1、公比 1/3 の無限等比級数の和は?「3/2」のように書いてね。

Q3 きほん

調和級数 1 + 1/2 + 1/3 + … は?

Q4 ふつう

0.999… を無限等比級数として計算すると?

Q5 ふつう

「項が0に近づく」は収束の?

Q6 ふつう

初項2、公比 1/2 の無限等比級数の和は?

Q7 チャレンジ

Σ n/(n + 1) が発散する理由は?

もっと れんしゅう

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