ステップ A9-3-1
グリーンの定理と積分定理の一家
この ページで まなぶ こと
- グリーンの定理(縁の線積分 = 中身のrotの重積分)をつかえるようになる
- 発散定理・ストークスの定理が同じ型の一家であることがわかる
グリーンの定理:閉曲線Cでの線積分 ∮F・dr = 囲む領域Dでの ∬rot F dxdy。発散定理:閉曲面の流束 = 中身の div の体積積分。すべて「縁 = 中身の微分」——基本定理の高次元版。
縁の一周が、中身の渦の合計になる
前のたんげんで、渦の場 F = (−y, x) を単位円で一周した線積分は 2π だった。一方この場の rot は 2(定数)——単位円の面積 π で積むと 2π。一致!
これがグリーンの定理だ:
\[\oint_C \vec{F} \cdot d\vec{r} = \iint_D \operatorname{rot} \vec{F}\, dx\, dy\](∮は「閉じた道を一周」の印。Cは領域Dの縁を反時計回り。)
縁をなぞった量 = 中身に散らばる渦の総和。 なぜか——領域を小さなマス目に刻むと、各マスの縁の小さな一周は rot(そこに置いた水車の回り——前々たんげん)に等しく、隣り合うマスの共有辺では逆向きに2回なぞられて打ち消し合う。生き残るのは外周だけ。内部の相殺、縁の生存——望遠鏡和(A3)の2次元版だ。
例1 :F = (−y, x)、半径2の円で一周すると? rot = 2、面積 4π——∮ = 2 × 4π = 8π。線積分を媒介変数でごりごり計算せずに、面積×2で即答できた。
例2(面積の公式) :F = (−y/2, x/2) は rot = 1。グリーンの定理から——
\[面積 = \frac{1}{2}\oint_C (x\, dy - y\, dx)\]縁をなぞるだけで面積が測れる。製図用の面積計(プラニメーター)はこの定理の機械化だ。
例3 :保存場(rot = 0)なら右辺は0——「閉じた道の線積分は0」(前たんげん)がグリーンの定理の特別な場合として再導出された。
一家そろい踏み — すべては「縁=中身」
同じ型の定理が、次元と役者を変えて並ぶ:
| 定理 | 縁 | 中身 |
|---|---|---|
| 微積分学の基本定理(A6) | 端点の差 F(b) − F(a) | ∫F′dx |
| グリーンの定理 | 閉曲線の線積分 | ∬rot dxdy |
| 発散定理(ガウス) | 閉曲面の流束 | ∭div dV |
| ストークスの定理 | 空間の閉曲線の線積分 | 張った曲面の∬rot・n dS |
発散定理は前たんげんの伏線回収だ:単位球面の流束 4π = div(x,y,z) = 3 × 体積 (4/3)π ✓
「縁の情報と中身の情報は、微分ひとつ分だけずれて等しい」——1変数の基本定理から始まった一本の思想が、次元を超えて貫通している。電磁気学のマクスウェル方程式が「微分形」と「積分形」の2つの顔を持つのは、まさにこの定理たちで往復できるからだ。
よくあるまちがい
その1:向きの取りちがえ。 グリーンの定理の縁は反時計回り(領域を左手に見る向き)。逆回りなら符号が反転する。
その2:穴のある領域にそのまま適用。 ドーナツ型の領域では外周と内周(逆向き)の両方が縁。定理の適用条件(単連結かどうか)を確認する癖を——rot = 0 でも穴のまわりの一周が0にならない例(渦糸)が実在する。
れんしゅう
グリーンの定理が結ぶのは?
F = (−y, x)(rot = 2)を半径2の円で一周した線積分は □π。□は?
rot F = 0 の場の閉曲線での線積分は?
rot F = 3(定数)、面積5の領域の縁での線積分は?
発散定理が結ぶのは?
div F = 3 の場の、体積 (4/3)π の球からの流束は □π。□は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!