ステップ A9-2-1

線積分 — 道に沿って積む

この ページで まなぶ こと

  • ベクトル場の線積分(仕事)の意味と計算法がわかる
  • 保存場では線積分が経路によらないことがわかる

線積分 ∫F・dr は「各一歩で(力・進む向き)の内積を積む」=仕事。計算は経路を媒介変数表示して1変数の積分へ。勾配場(保存力)なら値は端点だけで決まり、閉じた道では0。

仕事 = 力と歩みの内積の積み上げ

力の場 F の中を、曲線Cに沿って点が動く。物理の仕事は「力 × 進んだ距離」——ただし進む向きの成分だけが効く(真横に押しても仕事はゼロ)。各一歩 dr→ での仕事は内積 F・dr→(G5の内積、ここでも主役)。積み上げて——

\[W = \int_C \vec{F} \cdot d\vec{r}\]

線積分という。計算は、経路を媒介変数表示(A5!)して1変数に戻すだけだ。

例1 :F = (y, x) の中を、直線 r(t) = (t, t)(0 ≦ t ≦ 1)で進む仕事は?

dr/dt = (1, 1)。F(r(t)) = (t, t)。内積 = t + t = 2t。

\[W = \int_0^1 2t\, dt = 1\]

例2 :同じ F で、別の道——放物線 r(t) = (t, t²)(0 ≦ t ≦ 1)ではどうか。

dr/dt = (1, 2t)。F = (t², t)。内積 = t² + 2t² = 3t²。W = ∫₀¹3t² dt = 1

同じ値になった! 偶然ではない——F = (y, x) は f = xy の勾配場(∇f = (y, x) ✓)だからだ。

保存場 — 道によらず、端点で決まる

勾配場 F = ∇f の線積分には、微積分学の基本定理(A6)の曲線版が成り立つ:

\[\int_C \nabla f \cdot d\vec{r} = f(終点) - f(始点)\]

途中の道はどうでもいい。例1・2なら f = xy で f(1,1) − f(0,0) = 1 ✓ 一撃だ。

だから勾配場(=保存力。rot = 0 の場——前たんげん)では:

  • 線積分は経路によらない
  • 閉じた道(出発点に戻る)なら線積分は0(f(P) − f(P) = 0)

重力場で山を一周して戻れば、位置エネルギーの収支はゼロ——「保存」力の名の由来だ。

例3 :渦の場 F = (−y, x)(rot = 2 ≠ 0、保存でない)を単位円 r(t) = (cos t, sin t) で一周すると?

dr/dt = (−sin t, cos t)。F = (−sin t, cos t)。内積 = sin²t + cos²t = 1(相互関係!)。

\[W = \int_0^{2\pi} 1\, dt = 2\pi \neq 0\]

閉じた道なのにゼロでない——渦のある場では、ぐるっと回るだけでエネルギーが出入りする。この「閉じた道の線積分」と「囲む領域の rot」の関係こそ、次のステップのグリーンの定理だ。

よくあるまちがい

その1:内積を忘れて大きさだけ積む。 F ds は別物(スカラー場の線積分)。仕事は向きの合う成分だけ——内積の線積分だ。

その2:どんな場でも「端点だけで決まる」と思う。 それは保存場の特権。例3のような渦のある場では経路が効く。まず rot = 0 かを確認。

れんしゅう

Q1 きほん

F = (y, x) を (0,0)→(1,1) の直線で進む仕事は?

Q2 きほん

同じFを放物線経由で進む仕事は?

Q3 きほん

線積分が経路によらないのは?

Q4 ふつう

保存場で閉じた道を一周する線積分は?

Q5 ふつう

F = ∇f、f = xy のとき (0,0)→(2,3) の線積分は?

Q6 チャレンジ

F = (−y, x) を単位円で一周する線積分は □π。□は?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。