ステップ L2-3-1

固有値と固有ベクトル

この ページで まなぶ こと

  • 固有値・固有ベクトルの定義と図形的な意味がわかる
  • 特性方程式 det(A − λE) = 0 で固有値を求められるようになる

Av→ = λv→(v→ ≠ 0)となるとき、λが固有値、v→が固有ベクトル——変換で向きを変えない方向とその倍率。固有値は特性方程式 det(A − λE) = 0 の解として求まる。

変換に流されない方向

行列 A = [[3, 1], [0, 2]] でいろんなベクトルを変換してみる。(1, 1) → (4, 2)——向きが変わった。(2, 1) → (7, 2)——これも。

でも (1, 0) → (3, 0)——向きそのまま、3倍

こういう「変換しても向きを保ち、伸び縮みだけする」ベクトルを固有ベクトル、倍率λを固有値という:

\[A\vec{v} = \lambda\vec{v} \qquad (\vec{v} \neq \vec{0})\]

(v→ = 0 は除外——0はどんなλでも式をみたしてしまい、情報がないから。)

固有ベクトルは変換の「骨組みの方向」だ。回転する地球のなかで自転軸だけが動かないように、変換には固有の軸がある。

固有値の求め方 — 行列式が再登場

Av→ = λv→ を変形すると (A − λE)v→ = 0→。0でないv→がこの方程式をみたすには、行列 A − λE が「つぶれて」いなければならない(つぶれていなければ逆行列があって v→ = 0 に限られてしまう)。つぶれる ⇔ 行列式が0(L1!)——

\[\det(A - \lambda E) = 0\]

これを特性方程式という。固有値さがしが、方程式解きに変わった。

例1 :A = [[3, 1], [0, 2]]。

\[\det\begin{pmatrix} 3 - \lambda & 1 \\ 0 & 2 - \lambda \end{pmatrix} = (3 - \lambda)(2 - \lambda) = 0\]

固有値は λ = 3、2。上三角行列なら対角成分がそのまま固有値だ。

例2 :A = [[2, 1], [1, 2]]。

det(A − λE) = (2 − λ)² − 1 = λ² − 4λ + 3 = (λ − 1)(λ − 3) = 0——λ = 1、3。二次方程式(N10)が固有値を吐き出す。

固有ベクトルも求めよう。λ = 3 のとき (A − 3E)v→ = 0 は −x + y = 0、つまり v→ = (1, 1) 方向。λ = 1 なら x + y = 0 で (1, −1) 方向

検算:A(1, 1) = (3, 3) = 3(1, 1) ✓ A(1, −1) = (1, −1) = 1(1, −1) ✓

この行列は「(1, 1) 方向に3倍、(1, −1) 方向はそのまま」の変換だった——固有ベクトルの目で見ると、変換の正体が読める

例3 :90°回転 [[0, −1], [1, 0]] の特性方程式は λ² + 1 = 0——実数解なし! 回転に「向きを変えない実の方向」がないのは当然だ。でも複素数まで広げれば λ = ±i——虚数固有値は回転の合図(i = 90°回転、G6の再演)。代数学の基本定理(N11)のおかげで、複素数の世界なら固有値は必ず見つかる。

よくあるまちがい

その1:v→ = 0 を固有ベクトルに数える。 定義から除外されている。固有「方向」が知りたいのに、0には向きがない。

その2:固有値と固有ベクトルを取り違えて答える。 λは(倍率)、v→はベクトル(方向)。「固有値は (1, 1)」という答案は型エラーだ。

れんしゅう

Q1 きほん

固有ベクトルとは?

Q2 きほん

[[3, 1], [0, 2]] の固有値のうち大きいほうは?

Q3 きほん

固有値を求める方程式は det(A − λE) = ?

Q4 ふつう

[[2, 1], [1, 2]] の固有値のうち大きいほうは?

Q5 ふつう

小さいほうは?

Q6 ふつう

[[5, 2], [0, 1]] の固有値のうち大きいほうは?

Q7 チャレンジ

90°回転の行列の固有値は?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。