ステップ L2-2-1

線形写像と行列

この ページで まなぶ こと

  • 線形写像の定義(和と実数倍を保つ)を判定できるようになる
  • 「基底の行き先」から行列表現が決まることがわかる

f(u + v) = f(u) + f(v)、f(cv) = c f(v) をみたす写像が線形写像。基底ベクトルの行き先を列に並べたものが表現行列——線形写像と行列は同じものの2つの顔。

「構造を保つ」写像

ベクトル空間の命は和とスカラー倍。ならば、その構造を壊さない写像が主役になるはずだ。

\[f(\vec{u} + \vec{v}) = f(\vec{u}) + f(\vec{v}) \qquad f(c\vec{v}) = c\,f(\vec{v})\]

この2条件をみたす f を線形写像という。「たしてから写しても、写してからたしても同じ」——計算と写像が交換できる。

例1 :f(x, y) = (2x + y, x − y) は線形(成分が x、y の1次の項だけでできている)。

例2 :f(x) = x + 1 は線形でない。f(0) = 1 ≠ 0——線形写像は必ず 0 を 0 にうつす(f(0) = f(0・0) = 0・f(0) = 0)。一次関数 y = ax + b(A1)のうち、線形写像なのは b = 0 の正比例だけ。「線形」という言葉の数学的な狭さに注意だ。

例3 :意外な仲間——微分。(f + g)′ = f′ + g′、(cf)′ = cf′(A4の計算規則!)。微分は「関数の空間から関数の空間への線形写像」だ。線形代数の定理が、解析学の対象にそのまま届く——抽象化の配当がここでも出る。

基底の行き先が、すべてを決める

線形写像の最大の特徴:基底ベクトルの行き先さえ決めれば、全員の行き先が決まる

v = c₁e₁ + c₂e₂ なら、線形性から f(v) = c₁f(e₁) + c₂f(e₂)——組み立て方が保存されるからだ。

そこで、f(e₁)、f(e₂) を列として並べた行列を作る。例1なら f(1, 0) = (2, 1)、f(0, 1) = (1, −1) だから——

\[A = \begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & -1 \end{pmatrix}\]

すると f(v) は行列の積 Av→ そのもの。線形写像=行列。L1で「ベクトルを変換する機械」と呼んだ行列の正体は、線形写像の座標表示だったのだ。行列の積が写像の合成に対応すること(AB =「Bしてから A」)も、これで必然だとわかる。

例4 :90°回転はどんな行列? e₁ = (1, 0) は (0, 1) へ、e₂ = (0, 1) は (−1, 0) へ回る。列に並べて——

\[R = \begin{pmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix}\]

検算:R を2回掛けると [[−1, 0], [0, −1]] = −E——180°回転 ✓(複素数平面の i²= −1 と同じ景色! G6)

よくあるまちがい

その1:f(x) = x + 1 型を線形と呼ぶ。 平行移動が混ざると線形写像ではない(f(0) ≠ 0 が即座の判定法)。

その2:行の並べ方と列の並べ方の混同。 表現行列は基底の行き先をに並べる。行に並べると転置行列になってしまい、回転の向きが逆転する。

れんしゅう

Q1 きほん

線形写像の2条件は?

Q2 きほん

f(x) = x + 1 は?

Q3 きほん

f(x, y) = (2x + y, x − y) の表現行列の (1, 1) 成分は?

Q4 ふつう

90°回転の行列 [[0, −1], [1, □]]。□は?

Q5 ふつう

微分は線形写像?

Q6 チャレンジ

f(1, 0) = (3, 1)、f(0, 1) = (2, 5) のとき f(1, 1) の x成分は?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。