ステップ L2-2-2
核・像と次元定理
この ページで まなぶ こと
- 核(Ker)と像(Im)の意味がわかり、求められるようになる
- 次元定理 dim Ker + dim Im = dim(定義域)をつかえるようになる
核 Ker f = 0につぶれるベクトルの全体、像 Im f = 届く先の全体——どちらも部分空間。次元定理:dim Ker + dim Im = もとの空間の次元。「つぶれた分だけ、届く範囲が痩せる」保存則。
つぶれる部分と、届く範囲
線形写像 f : V → W には、2つの重要な付属品がある。
| 核 Ker f = {v | f(v) = 0}——0につぶれてしまうベクトルの集まり。 |
| 像 Im f = {f(v) | v ∈ V}——実際に届く先の集まり。 |
どちらも部分空間になる(前たんげんの3点セットで確認できる)。そして——
- Ker f = {0} ⇔ f は単射(つぶれるのが0だけなら、かぶりようがない)
- Im f = W ⇔ f は全射(定義そのもの)
S3の単射・全射が、線形の世界では部分空間の言葉に翻訳される。
例1 :f(x, y) = (x, 0)(x軸への正射影)。
Ker:f(x, y) = 0 ⇔ x = 0——y軸(次元1)。Im:届くのは (x, 0) の形——x軸(次元1)。たてにぺしゃんと押しつぶす写像の、つぶれた方向が核、生き残った方向が像だ。
例2 :90°回転 R。つぶれるベクトルは0だけ(回しても長さは変わらない)——Ker = {0}、単射。どこへでも届く——Im = R²、全射。回転は全単射(逆回転が逆写像)。
次元定理 — つぶれと届きの保存則
例1を見直すと、dim Ker + dim Im = 1 + 1 = 2 = dim R²。例2でも 0 + 2 = 2。偶然ではない——
\[\dim(\operatorname{Ker} f) + \dim(\operatorname{Im} f) = \dim V\]次元定理。もとの空間のn本の軸は、「つぶれる軸」と「生き残る軸」にきっちり分配される——次元の保存則だ。
例3 :連立方程式 Ax→ = b→(L1)に翻訳してみよう。Ker A は斉次方程式の解空間(解の自由度!)、Im A は「解が存在する右辺 b→ の範囲」。3変数の方程式で解の自由度が1なら、dim Im = 3 − 1 = 2——係数行列の実質的な情報は2本(ランク! L1の伏線回収)。掃き出し法で消えた行の本数と、解のパラメータの本数が、次元定理でつながった。
例4 :R³ → R² の線形写像に単射はあるか? 単射なら dim Ker = 0、すると dim Im = 3——でも R² の部分空間は次元2まで。ありえない。3次元を2次元に押し込めば、必ずどこかがつぶれる——鳩の巣論法(P1の心)の線形代数版だ。
よくあるまちがい
その1:核と像の住所の混同。 Ker は定義域Vの部分空間、Im は行き先Wの部分空間。矢印のどちら側の話かを常に意識しよう。
その2:dim Im と「Wの次元」の混同。 次元定理に現れるのは dim Im(実際に届く範囲)であって dim W ではない。全射のときだけ両者が一致する。
れんしゅう
Ker f とは?
f が単射 ⇔ ?
正射影 f(x, y) = (x, 0) の dim Ker = ?
その dim Im = ?
次元定理:dim Ker + dim Im = ?(f : R⁴ → R³ のとき)
f : R⁵ → R⁵ で dim Ker = 2 のとき dim Im = ?
R³ → R² の線形写像に単射は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!