ステップ A5-2-2

三角・指数・対数関数の微分と数e

この ページで まなぶ こと

  • (sin x)′ = cos x、(cos x)′ = −sin x を導けるようになる
  • 数 e の意味と (eˣ)′ = eˣ、(log x)′ = 1/x をつかえるようになる

(sin x)′ = cos x(sin x/x → 1 が心臓部)。微分しても変わらない特別な底が e ≒ 2.718:(eˣ)′ = eˣ。自然対数 log x = logₑx の微分は 1/x。

sin の微分 — 名極限の出番

(sin x)′ を定義から計算しよう。加法定理(A2)で sin(x + h) を開くと——

\[\frac{\sin(x+h) - \sin x}{h} = \sin x \cdot \frac{\cos h - 1}{h} + \cos x \cdot \frac{\sin h}{h}\]

h → 0 で、sin h/h → 1(前たんげんの名極限!)、(cos h − 1)/h → 0(同じはさみうちから出る)。よって——

\[(\sin x)' = \cos x \qquad (\cos x)' = -\sin x\]

sinの傾きを追いかけるとcosになる。波の頂上(傾き0)でcosは0、波の上り坂が最も急な x = 0 でcosは最大値1——グラフを重ねると、たしかに傾きの記録になっている ✓ ラジアンで角を測った報酬が、この美しさだ。

数 e — 微分が生んだ定数

指数関数 aˣ の微分を定義から書くと——

\[(a^x)' = a^x \cdot \lim_{h \to 0} \frac{a^h - 1}{h}\]

aˣ 自身に「定数」が掛かる形。ならば、その定数がちょうど1になる底があれば、微分がいちばん美しくなる。その底が——

\[e = 2.71828\cdots\]

ネイピア数という無理数だ。定義から即座に——

\[(e^x)' = e^x\]

微分しても変わらない関数。「増える速さが、今の量そのもの」——細菌の増殖・複利・放射性崩壊(A2)の微分方程式が、すべて e で書かれる理由がこれだ。円周率πが「円の定数」なら、e は「成長の定数」だよ。

底eの対数 logₑx を自然対数といい、ただ log x(または ln x)と書く。逆関数の関係から——

\[(\log x)' = \frac{1}{x}\]

xⁿ の微分では決して現れなかった「1/x を微分で作る関数」が、ついに見つかった(この事実は積分(次々たんげん)で効いてくる)。

例1 :y = e³ˣ の微分。連鎖律で y′ = e³ˣ × 3 = 3e³ˣ

例2 :y = x eˣ の微分。積の法則で y′ = eˣ + x eˣ = (1 + x)eˣ。

例3 :y = log(x² + 1)。連鎖律:y′ = 1/(x² + 1) × 2x = 2x/(x² + 1)

微分の道具箱、完成

関数 導関数
xⁿ nxⁿ⁻¹
sin x cos x
cos x −sin x
log x 1/x

この表と3つの規則(積・商・連鎖律)で、この先出会うほとんどの関数が微分できる。道具箱は完成した——次のたんげんから、これで何ができるかを見にいく。

よくあるまちがい

その1:(cos x)′ の符号。 cos の微分にはマイナスがつく:−sin x。cosの波は x = 0 の直後に下り始める(傾きが負)——グラフで確認すれば忘れない。

その2:eˣ と xⁿ の混同。 (eˣ)′ = x eˣ⁻¹ は誤り。xⁿ の規則は底が変数のとき。eˣ は指数が変数——規則がまるで違う。(eˣ)′ = eˣ、それだけだ。

れんしゅう

Q1 きほん

(sin x)′ = ?

Q2 きほん

(cos x)′ = ?

Q3 きほん

(eˣ)′ = ?

Q4 ふつう

e はおよそ 2.□18…。□は?

Q5 ふつう

y = e⁵ˣ の y′ = □e⁵ˣ。□は?

Q6 ふつう

(log x)′ = ?

Q7 チャレンジ

y = sin 2x の x = 0 での微分係数は?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。