ステップ A5-4-2

部分積分 — 積の微分の逆再生

この ページで まなぶ こと

  • 部分積分の公式をつかえるようになる
  • x eˣ や x cos x、log x を積分できるようになる

∫f′g dx = fg − ∫fg′ dx。積の微分 (fg)′ = f′g + fg′ を移項しただけ。「片方を積分、もう片方を微分」して、残った積分をやさしくする技。微分して簡単になるほう(xなど)を g に選ぶ。

積の微分を移項すると

x eˣ のような積の形は、置換では歯が立たない。頼るのは、積の微分法則の逆再生だ。

(fg)′ = f′g + fg′ の両辺を積分して移項すると——

\[\int f'g\, dx = fg - \int fg'\, dx\]

部分積分という。読み方:「f′g の積分は、(fを積分して)fg、引く、(gを微分して)fg′ の積分」。左の積分が難しくても、右の積分がやさしくなれば勝ちだ。

つかってみる

例1 :∫x eˣ dx を求めよう。

eˣ を「積分する側」(f′ = eˣ → f = eˣ)、x を「微分する側」(g = x → g′ = 1)に選ぶ:

\[\int e^x \cdot x\, dx = e^x \cdot x - \int e^x \cdot 1\, dx = x e^x - e^x + C\]

検算:微分すると (eˣ + x eˣ) − eˣ = x eˣ ✓

なぜこの役割分担か? x は微分すると1になって消えるから。残った積分 ∫eˣdx は一撃だ。「微分して簡単になるほうを微分係に」——部分積分の作戦のすべてがこの一言にある。

例2 :∫x cos x dx。cos x を積分係(→ sin x)、x を微分係に:

\[= x\sin x - \int \sin x\, dx = x\sin x + \cos x + C\]

例3(名作) :∫log x dx = ?

積に見えないが、1 × log x と読む。1を積分係(→ x)、log x を微分係(→ 1/x)に:

\[\int 1 \cdot \log x\, dx = x\log x - \int x \cdot \frac{1}{x}\, dx = x\log x - x + C\]

「積分できない顔」をした log x が、見えない1との部分積分で陥落した。

例4(定積分でも同じ) :∫₀¹ x eˣ dx = [x eˣ − eˣ]₀¹ = (e − e) − (0 − 1) = 1。きれいな整数になった——eの計算はときどき、こういうご褒美をくれる。

積分は「技の選択」のゲーム

微分は規則を機械的に適用すれば必ず終わる。積分はちがう——どの技を選ぶかの判断がいる。

  • 合成の形で、中身の微分が隣にいる → 置換積分
  • 異種の関数の積(x×eˣ、x×cos x、log x) → 部分積分
  • ただの和・定数倍 → 表を逆読み

この「見立て」の練習こそが積分の学習だ。そして実は、初等関数の組み合わせでは積分できない関数もある(e^(−x²) が有名——のちに正規分布で主役になるのに!)。微分と積分の非対称性は、数学の奥行きそのものだよ。

よくあるまちがい

その1:役割分担を逆にする。 例1で x を積分係にすると ∫(x²/2)eˣdx が残って難化する。うまくいかなければ、分担を入れかえてやり直せばいい——それも正しい手順のうちだ。

その2:符号の脱落。 fg ∫fg′。マイナスを落とすと例2の cos の符号がずれる。検算(微分)が最後の砦。

れんしゅう

Q1 きほん

部分積分の公式は ∫f′g dx = ?

Q2 きほん

∫x eˣ dx で微分係にすべきは?

Q3 きほん

∫x eˣ dx = x eˣ − □ + C。□に入るのは?

Q4 ふつう

∫x cos x dx = x sin x + □ + C。□に入るのは?

Q5 ふつう

∫log x dx = x log x − □ + C。□に入るのは?

Q6 チャレンジ

∫₀¹ x eˣ dx = ?

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。