ステップ G6-1-2
極形式とド・モアブルの定理
この ページで まなぶ こと
- 複素数を極形式 r(cos θ + i sin θ) で表せるようになる
- 「かけ算=回転と拡大」とド・モアブルの定理をつかえるようになる
z = r(cos θ + i sin θ)(r = 絶対値、θ = 偏角)。かけ算は「絶対値をかけ、偏角をたす」——つまり回転と拡大。n乗すれば偏角はn倍:ド・モアブルの定理 (cos θ + i sin θ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ。
複素数を「距離と向き」で書く
点 (a, b) は、直交座標のかわりに「原点からの距離 r と、実軸からの角 θ」でも指定できる(単位円の考え——A2)。a = r cos θ、b = r sin θ だから——
\[z = r(\cos\theta + i\sin\theta)\]| これが極形式。r = | z | 、θ を偏角という。 |
例1 :z = 1 + i の極形式は? r = √2、θ = π/4(点 (1,1) の方向)。z = √2(cos π/4 + i sin π/4)。
かけ算の正体 — 回転と拡大
2つの複素数を極形式のまま掛けてみる。
\[z_1 z_2 = r_1 r_2 (\cos\theta_1 + i\sin\theta_1)(\cos\theta_2 + i\sin\theta_2)\]かっこを展開して実部と虚部に整理すると——
\[実部:\cos\theta_1\cos\theta_2 - \sin\theta_1\sin\theta_2 \qquad 虚部:\sin\theta_1\cos\theta_2 + \cos\theta_1\sin\theta_2\]この2つの式、見覚えがあるはず——加法定理(A2)そのものだ! つまり——
\[z_1 z_2 = r_1 r_2 \{\cos(\theta_1 + \theta_2) + i\sin(\theta_1 + \theta_2)\}\]絶対値はかけ算、偏角はたし算。 複素数のかけ算とは「拡大しながら回転する」操作だった。i(偏角90°)を掛けると90°回る——i² = −1 は「90°を2回回れば180°(= −1 の方向)」という図形の事実だったんだ。
例2 :(1 + i)² を図で考える。絶対値 √2 → 2、偏角 45° → 90°。つまり 2i。展開でも 1 + 2i + i² = 2i ✓
ド・モアブルの定理 — n乗は偏角のn倍
かけ算のたびに偏角がたされるなら、n回掛ければ偏角はn倍——
\[(\cos\theta + i\sin\theta)^n = \cos n\theta + i\sin n\theta\]ド・モアブルの定理(厳密には数学的帰納法——A3——で証明できる。[2]のステップが加法定理だ)。
例3 :(1 + i)⁸ を求めよう。
まともに8回掛けたら大変。極形式なら:絶対値 (√2)⁸ = 16、偏角 8 × 45° = 360° = 0°。よって (1 + i)⁸ = 16。
例4 :z³ = 1 の解(1の3乗根)はいくつある?
絶対値1・偏角θの解を探すと、3θ が 0°、360°、720° のとき——θ = 0°、120°、240° の3個。複素数平面に描くと、単位円に内接する正三角形の頂点! 代数学の基本定理(N11)の「3次方程式には3つの解」が、美しい図形になって見えた。
よくあるまちがい
その1:偏角どうしを掛けてしまう。 かけ算で掛かるのは絶対値。偏角はたす。「回転は角度の加算」——時計の針を思い浮かべよう。
その2:極形式の cos と sin の取りちがえ。 実部が cos、虚部が sin(単位円の座標と同じ順)。z = r(cos θ + i sin θ) の形を崩さずに覚える。
れんしゅう
1 + i の絶対値は √□。□は?
1 + i の偏角は?(度で)
複素数のかけ算では、偏角は?
i を掛けると何度回転する?
(1 + i)² = □i。□は?
(cos 30° + i sin 30°)³ = cos 90° + i sin 90° = □i。□は?
(1 + i)⁸ = ?
z³ = 1 の複素数の解は全部でいくつ?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!