ステップ G5-2-2

内積 — ベクトルのかけ算

この ページで まなぶ こと

  • 内積の2つの顔(|a||b|cos θ と 成分の積和)をつかえるようになる
  • 内積で垂直判定となす角の計算ができるようになる

a→・b→ = |a→||b→|cos θ = a₁b₁ + a₂b₂。答えはベクトルでなく数。垂直 ⇔ 内積0。2つの定義が等しいことの証明には余弦定理が働いている。

ベクトルどうしの「かけ算」

たし算と伸縮はできた。では、ベクトルどうしのかけ算は? もっとも実り多い定義がこれだ——

\[\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta \qquad (θは2つのベクトルのなす角)\]

内積という。結果はベクトルでなく、ただの数。意味は「2つの向きがどれだけそろっているか」——同じ向きなら最大(cos 0 = 1)、垂直なら0(cos 90° = 0)、逆向きなら負。

例1 a→ = 3、 b→ = 4、なす角60°なら、a→・b→ = 3 × 4 × 1/2 = 6

もうひとつの顔 — 成分の積和

驚くべきことに、内積は成分から角度を測らずに計算できる。

\[\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2\]

なぜこの2つが同じ数になるのか? 2つのベクトルの先端を結ぶ三角形に余弦定理(G4)を使うと——

\[|\vec{a} - \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 - 2|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta\]
左辺を成分で展開すると (a₁ − b₁)² + (a₂ − b₂)²。右辺の a→ ²、 b→ ² も成分で書いて整理すれば、−2(a₁b₁ + a₂b₂) = −2 a→   b→ cos θ が残る。両辺を−2でわって一致 ∎

幾何の顔(cos θ)と代数の顔(積和)——2つの顔を持つからこそ、内積は「計算で角度を知る」道具になる。

例2 :a→ = (3, 1)、b→ = (1, 2) の内積は 3 × 1 + 1 × 2 = 5

垂直判定となす角

垂直 ⇔ a→・b→ = 0——これが内積のいちばん頻繁な使いみちだ。

例3 :(2, 1) と (−1, 2) は垂直? 内積 = −2 + 2 = 0——垂直! 測らず、描かず、計算だけで直角がわかった。(傾きの積 −1 の判定(前たんげん)と同じ内容を、ベクトルはたて向きの直線でも使える形にしてくれる。)

なす角そのものも出せる:cos θ = (a→・b→)/( a→   b→ )。

例4 :a→ = (1, 0)、b→ = (1, 1) のなす角は?

cos θ = (1 + 0)/(1 × √2) = 1/√2。よって θ = 45° ✓(図を描けば一目瞭然の角度が、計算からも出た。)

よくあるまちがい

その1:内積をベクトルだと思う。 a→・b→ = 5 の5は数(スカラー)。「内積の成分は?」という質問は意味をなさない。

その2:垂直条件と平行条件の混同。 垂直は内積0。平行は一方が他方の実数倍(成分の比が等しい)。(2, 1) と (4, 2) は平行、(2, 1) と (−1, 2) は垂直だ。

れんしゅう

Q1 きほん

|a→| = 3、|b→| = 4、なす角60°のとき a→・b→ = ?

Q2 きほん

a→ = (3, 1)、b→ = (1, 2) の内積は?

Q3 きほん

垂直な2つのベクトルの内積は?

Q4 ふつう

(2, 1) と (−1, 2) の内積は?

Q5 ふつう

(4, 3) と (1, −2) の内積は?(−3 のように書いてね)

Q6 ふつう

a→ = (2, 6) と b→ = (3, k) が垂直になる k は?(−1 のように書いてね)

Q7 チャレンジ

a→ = (1, 0)、b→ = (1, 1) のなす角は?

°

もっと れんしゅう

ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。