ステップ A8-1-2
微分方程式でモデルを作る
この ページで まなぶ こと
- 現象の言葉を微分方程式に翻訳できるようになる
- 冷却の法則とロジスティック方程式の考え方がわかる
「〜の速さは…に比例」を式にすればモデル完成。冷却はニュートンの法則 T′ = −k(T − 環境温度)、人口の頭打ちはロジスティック方程式——爆発しない成長のS字カーブ。
「〜の速さは…に比例」を式にする
微分方程式の実戦は翻訳から始まる。日本語の法則を、導関数の式に写す。
例1(マルサスの人口モデル) :「人口の増える速さは人口に比例」→ P′ = kP → P = Ce^(kt)。指数的な爆発(A2の細菌!)。短期の予測には合うが、地球は有限——どこかで破綻するはずだ(あとで直す)。
例2(ニュートンの冷却法則) :「コーヒーの冷める速さは、まわりとの温度差に比例」。環境温度20°Cなら——
\[T' = -k(T - 20)\]u = T − 20 と置けば u′ = −ku——おなじみの型に帰着して u = Ce^(−kt)、つまり——
\[T = 20 + Ce^{-kt}\]例3 :90°Cのコーヒー(環境20°C)が10分で55°Cに冷めた。C = 70、55 = 20 + 70e^(−10k) より e^(−10k) = 1/2——10分で温度差が半減する。では20分後は? 温度差はさらに半分の 17.5°C——T = 37.5°C。半減期(A2)の考えが冷却にも現れた。検算:30分後は 20 + 8.75 = 28.75°C、たしかに20°Cへ漸近していく ✓
ロジスティック方程式 — 爆発しない成長
マルサスモデルの欠陥(無限に増える)を直そう。環境が支えられる上限(環境収容力 K)に近づくとブレーキがかかるはず——
\[P' = kP\left(1 - \frac{P}{K}\right)\]ロジスティック方程式。PがKより小さいうちは (1 − P/K) ≒ 1 でほぼ指数成長、Kに近づくと右辺が0に近づいて頭打ち。解のグラフはS字カーブ(変数分離+部分分数で厳密に解ける)。
質的な読み方も重要だ:P′ = 0 となるのは P = 0 と P = K。平衡点という。P = K の近くでは、下から近づけば P′ > 0 で押し上げられ、上から近づけば P′ < 0 で押し下げられる——安定な平衡。解を式で書かなくても、微分方程式そのものから「どこに落ち着くか」が読める。この定性的な解析は、解けない方程式が大半の実世界での主戦力だ。
例4 :感染症の流行(SIRモデル)、化学反応の速度、銀行の複利とローン——「変化の法則→微分方程式→挙動の予測」の型は、あらゆる分野で同じ形で回っている。
よくあるまちがい
その1:比例定数の符号を落とす。 「冷める」「減る」現象は右辺にマイナスが要る。解が増加してしまったら符号を疑おう(検算は現象との照合!)。
その2:モデルを真実と混同する。 マルサスモデルは短期では正確、長期では破綻——モデルには適用範囲がある。「すべてのモデルは間違っている、しかし役に立つものもある」——この距離感ごと身につけるのがモデリングだ。
れんしゅう
「冷める速さは温度差に比例」を式にすると?
環境20°C、初期90°Cで温度差が10分ごとに半減。20分後の温度は?(°C)
ロジスティック方程式の安定な平衡点は P = ?(記号1文字)
ロジスティック方程式の解のグラフは?
P′ = 2P(1 − P/100) で P′ = 0 となる正の平衡点は?
例3のコーヒー、30分後の温度は?(°C。小数で 28.75 のように)
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!