ステップ A8-2-2
単振動 — 虚数解は振動の合図
この ページで まなぶ こと
- 特性方程式の虚数解が sin・cos の振動解に対応することがわかる
- 単振動 y″ = −ω²y の一般解と周期をつかえるようになる
y″ = −ω²y(ばねの式)の特性方程式は λ² = −ω²——解は虚数 ±iω。オイラーの公式を通すと一般解は y = C₁cos ωt + C₂sin ωt——振動! 特性方程式が虚数解 ⇔ 解は振動する。
ばねの式
ばねにつないだおもりを引いて放す。フックの法則「復元力は変位に比例(逆向き)」から——
\[y'' = -\omega^2 y \qquad 「加速度は、変位の逆向きに比例」\]特性方程式は λ² = −ω²。実数解なし——λ = ±iω。前のたんげんの処方箋どおりなら解は e^(iωt)。指数の肩に虚数が乗ってしまった。これは何者か?
オイラーの公式が翻訳する
テイラー展開(A6)で予告したオイラーの公式の出番だ:
\[e^{i\omega t} = \cos \omega t + i\sin \omega t\](e^x の展開に x = iωt を代入し、iの累乗の周期性 i² = −1、i³ = −i、i⁴ = 1 で実部と虚部に仕分けると、cosとsinの展開がそのまま現れる——A6のテイラーの景色!)
複素数の解 e^(±iωt) を実数の世界に翻訳し直すと、一般解は——
\[y = C_1 \cos \omega t + C_2 \sin \omega t\]振動だ。 特性方程式の虚数解は「揺れ」の合図——90°回転がiだったこと(G6)、回転する点の影がsin・cosだったこと(A2)、すべての伏線がここで一本に結ばれる。
例1 :y″ = −4y、y(0) = 3、y′(0) = 0 を解こう。
ω = 2。一般解 y = C₁cos 2t + C₂sin 2t。y(0) = 3 → C₁ = 3。y′(0) = 2C₂ = 0 → C₂ = 0。
\[y = 3\cos 2t\]振幅3、周期 2π/ω = π の単振動。検算:y″ = −12cos 2t = −4y ✓
例2 :周期の公式 T = 2π/ω。ω = 1 なら周期 2π——三角関数の周期(A2)が、そのまま物理の振動周期になる。振り子の等時性(ガリレオ)も、時計の設計も、この式の応用だ。
減衰と共振 — 現実の揺れ
摩擦のある現実のばねは y″ + 2γy′ + ω²y = 0。特性方程式の解は λ = −γ ± √(γ² − ω²)——判別式(N11)が運命を分ける:
- 摩擦が小さい(γ < ω)→ 虚数解 → 減衰振動(揺れながら静まる。解は e^(−γt) × 振動——指数と三角の合奏)
- 摩擦が大きい(γ > ω)→ 実数解(すべて負)→ 揺れずにじわっと停止(ドアクローザーの設計!)
外から周期的に揺らすと、固有の振動数ωに近い入力で振幅が跳ね上がる——共振。建物の耐震設計もブランコのこぎ方も、この方程式の言葉で書かれている。
よくあるまちがい
その1:虚数解を見て「解なし」とする。 実数解がないのは特性方程式の話。微分方程式の解はちゃんとある——姿を変えて(振動として)現れるだけだ。
その2:周期とωの混同。 ωは角振動数(1秒に進む角)、周期は T = 2π/ω。ω = 2 の周期は 2π/2 = π——2πではない。
れんしゅう
y″ = −9y の特性方程式の解は ±□i。□は?
特性方程式が虚数解のとき、微分方程式の解は?
y″ = −4y、y(0) = 3、y′(0) = 0 の解は y = 3cos □t。□は?
その振動の周期は?(πの係数で。π = 1π の 1 のように)
e^(iωt) = cos ωt + i sin ωt の名は?
摩擦の大きいばね(特性方程式が負の実数解2つ)は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!