ステップ S3-1-2
合成写像と逆写像
この ページで まなぶ こと
- 合成写像 g∘f の順序と計算がわかる
- 逆写像が存在する条件(全単射)がわかる
g∘f は「fしてからg」——右から読む。逆写像 f⁻¹ が作れるのは f が全単射のときだけ、そのとき f⁻¹∘f = 恒等写像。指数と対数、行列と逆行列——「逆」の統一理論だ。
合成 — 写像をつなぐ
f : A → B と g : B → C をつなぐと、AからCへの写像ができる:
\[(g \circ f)(a) = g(f(a))\]合成写像 g∘f。注意——記号は g が左だが、先に働くのは f(右から読む)。「fしてからg」だ。
例1 :f(x) = x + 1、g(x) = x² のとき。
(g∘f)(x) = g(x + 1) = (x + 1)²。(f∘g)(x) = x² + 1。順序で結果が変わる——行列の積(L1)が非可換だったのと同じ現象だ。それもそのはず、行列の積の正体は「変換の合成」だった。連鎖律(A5)の「外×中」も合成写像の微分——バラバラに見えた道具が、写像という言葉でひとつにつながる。
逆写像 — 完全な対応は巻き戻せる
f : A → B が全単射なら、対応を逆向きにたどれる:Bの各要素 b に、f(a) = b となるただひとつの a を返す写像——逆写像 f⁻¹だ。
\[f^{-1} \circ f = (\text{Aの恒等写像}) \qquad f \circ f^{-1} = (\text{Bの恒等写像})\](恒等写像とは「何もしない写像」id(a) = a。数の1、行列のEの写像版だ。)
なぜ全単射が必要か。単射でなければ「どのaに戻る?」が曖昧になり、全射でなければ「戻り先がないb」が生まれる。かぶらず、届き切ってこそ、巻き戻せる。
例2 :f(x) = 2x + 1(全単射だった)。y = 2x + 1 を x について解くと x = (y − 1)/2。
\[f^{-1}(x) = \frac{x - 1}{2}\]検算:f⁻¹(f(3)) = f⁻¹(7) = 3 ✓
例3 :見覚えのある逆写像たち。
- 指数関数 2ˣ と対数 log₂x(A2)——互いに逆写像。グラフが y = x 対称だったのはこのため
- 行列 A と逆行列 A⁻¹(L1)——det ≠ 0(=変換が全単射)のときだけ存在した
- f(x) = x² が逆を持てなかったのは単射でないから。定義域を x ≧ 0 に制限すれば全単射になり、逆写像 √x が生まれる(N10の平方根で「正のほう」と約束した理由がこれだ)
「逆」の理論は、ぜんぶ同じ一つの構図——全単射なら巻き戻せる。数学ハイウェイのあちこちで出会った「逆」たちの正体が、ここでそろって明かされた。
よくあるまちがい
その1:g∘f を「gしてからf」と読む。 逆だ。(g∘f)(x) = g(f(x))——内側のfが先。式の形から読み取ろう。
その2:f⁻¹ を 1/f と混同する。 f⁻¹(x) は逆写像であって逆数ではない。f(x) = 2x + 1 の逆写像は (x − 1)/2 で、1/(2x + 1) ではない。(sin⁻¹ などの記号でも同じ注意が要る。)
れんしゅう
f(x) = x + 1、g(x) = x² のとき (g∘f)(2) = ?
(f∘g)(2) = ?
逆写像が存在する条件は?
f(x) = 2x + 1 の逆写像で f⁻¹(7) = ?
2ˣ の逆写像は?
f(x) = 3x − 2 の逆写像は f⁻¹(x) = (x + 2)/□。□は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!