ステップ A7-2-2
変数変換とヤコビアン — ガウス積分へ
この ページで まなぶ こと
- 変数変換の面積倍率がヤコビアン(行列式)であることがわかる
- 極座標変換 dxdy = r drdθ をつかえるようになる
変数変換すると面積要素が |ヤコビアン| 倍される——偏微分を並べた行列の行列式。極座標では dxdy = r drdθ。円対称の積分が一撃になり、ガウス積分 ∫e^(−x²)dx = √π が導ける。
置換積分の「倍率」が行列式になる
1変数の置換積分(A5)では、x = g(t) と置くと dx = g′(t)dt——微分係数が長さの倍率だった。
2変数で (x, y) を (u, v) に取りかえると、小さな正方形 dudv は小さな平行四辺形にうつる。その面積倍率は?——行列式の出番だ(L1:det = 面積の拡大率!)。偏微分を並べた行列——
\[J = \det\begin{pmatrix} \partial x/\partial u & \partial x/\partial v \\ \partial y/\partial u & \partial y/\partial v \end{pmatrix}\]をヤコビアンといい——
\[dx\, dy = |J|\, du\, dv\]微分(局所の一次近似)と行列式(面積倍率)と積分——3つの装備がここで合体する。
極座標変換 — 円の味方
x = r cos θ、y = r sin θ(極座標——A5!)のヤコビアンを計算しよう。
\[J = \det\begin{pmatrix} \cos\theta & -r\sin\theta \\ \sin\theta & r\cos\theta \end{pmatrix} = r\cos^2\theta + r\sin^2\theta = r\](相互関係 sin² + cos² = 1 がまた働いた。)よって——
\[dx\, dy = r\, dr\, d\theta\]外側ほど(rが大きいほど)同じ Δθ が広い面積を掃く——扇形の面積(A2)の直観と一致する r 倍だ。
例1 :半径2の円板上で ∬(x² + y²)dxdy = ?
x² + y² = r²(三平方!)だから——
\[\int_0^{2\pi}\!\!\int_0^2 r^2 \cdot r\, dr\, d\theta = 2\pi \left[\frac{r^4}{4}\right]_0^2 = 2\pi \cdot 4 = 8\pi\]直交座標では手強い円対称の積分が、極座標で瞬殺された。座標系は対称性に合わせて選ぶ(A5の教え)の、最良の実演だ。
ガウス積分 — 統計学への贈り物
I = ∫e^(−x²)dx(全実数)——1変数ではどうしても計算できなかった積分(原始関数が初等関数で書けない——A5で予告)。ところが2乗して2次元に持ち込むと——
\[I^2 = \iint e^{-(x^2 + y^2)}\, dx\, dy = \int_0^{2\pi}\!\!\int_0^\infty e^{-r^2} r\, dr\, d\theta\]ここで r dr が e^(−r²) の置換にぴったりはまり(中身の微分が隣にいる——A5の置換の合図!)、内側は [−e^(−r²)/2]₀^∞ = 1/2。よって I² = 2π × 1/2 = π——
\[\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2}\, dx = \sqrt{\pi}\]ガウス積分。1次元で不可能だった計算が、次元を上げて対称性を借りると解ける——数学ハイウェイ屈指の絶景ポイントだ。この積分は正規分布(P3・P4)の正体そのもの。統計学の鐘形カーブの下の面積が1になるのは、この√πのおかげなんだ。
よくあるまちがい
その1:極座標で r を掛け忘れる。 dxdy = r drdθ。忘れると円板の面積すら πr² にならない(検算:∬1 = ∫∫r drdθ = 2π・r²/2 = πr² ✓)。
| その2:ヤコビアンの絶対値を忘れる。 面積倍率は | J | 。向きが裏返る変換(det < 0——L1の鏡うつし)でも面積は正だ。 |
れんしゅう
極座標のヤコビアンは?
半径2の円板上の ∬(x² + y²)dxdy = □π。□は?
半径3の円板上の ∬1 dxdy = □π(面積!)。□は?
ガウス積分 ∫e^(−x²)dx(全実数)= √□。□に入る記号は?
ガウス積分の計算の決め手は?
半径1の円板上の ∬(x² + y²)dxdy = π/□。□は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!