ステップ A7-1-2
多変数の極値
この ページで まなぶ こと
- 極値の候補(∇f = 0 の停留点)を求められるようになる
- 判別式 D = fxx fyy − fxy² で極大・極小・鞍点を見分けられるようになる
極値の候補は ∂f/∂x = ∂f/∂y = 0 の点(停留点)。判定は D = fxx fyy − (fxy)²——D > 0 かつ fxx > 0 で極小、fxx < 0 で極大、D < 0 なら鞍点(極値でない)。
山頂では、どの方向も平ら
1変数では「極値の候補は f′ = 0」だった(A4)。2変数の山頂・谷底では、どの方向に歩いても瞬間的には平ら——つまり——
\[\frac{\partial f}{\partial x} = 0 \quad かつ \quad \frac{\partial f}{\partial y} = 0 \qquad (\nabla f = \vec{0})\]この点を停留点という。極値の候補はここに限られる。
例1 :f(x, y) = x² + y² − 2x − 4y + 5 の停留点は?
∂f/∂x = 2x − 2 = 0、∂f/∂y = 2y − 4 = 0 → (1, 2)。値は f(1, 2) = 1 − 2 + 4 − 8 + 5 = 0。平方完成でも確かめられる:f = (x − 1)² + (y − 2)² ≧ 0——たしかに (1, 2) で最小値0 ✓
鞍点 — 峠という第3の答え
1変数にはなかった現象がある。f(x, y) = x² − y² の停留点は原点だが——x方向には谷底、y方向には山頂。馬の鞍の中央、山でいえば峠だ。極大でも極小でもない停留点——鞍点(あんてん)という。
方向によって表情が変わる——多変数の景色は1変数より豊かで、油断ならない。
判定法 — 2次の偏微分で見分ける
停留点の正体は、2次の偏微分(fxx = ∂²f/∂x² など)から作る判別式で見分けられる:
\[D = f_{xx}\,f_{yy} - (f_{xy})^2\]- D > 0 かつ fxx > 0 → 極小(全方向が谷)
- D > 0 かつ fxx < 0 → 極大(全方向が山)
- D < 0 → 鞍点(方向で符号が割れる)
- D = 0 → 判定不能(さらに詳しい調査へ)
(正体は2次形式の符号——対称行列 [[fxx, fxy], [fxy, fyy]] の固有値の符号(L2!)を、行列式でまとめて読んでいる。D > 0 は固有値が同符号、D < 0 は異符号——鞍点とは「固有値の符号が割れた点」なのだ。)
例2 :f = x² + y²。fxx = 2、fyy = 2、fxy = 0。D = 4 > 0、fxx > 0——極小 ✓
例3 :f = x² − y²。fxx = 2、fyy = −2、fxy = 0。D = −4 < 0——鞍点 ✓
例4 :f(x, y) = x³ − 3x + y²。停留点:3x² − 3 = 0、2y = 0 → (±1, 0)。fxx = 6x、fyy = 2、fxy = 0 だから D = 12x。(1, 0):D = 12 > 0、fxx = 6 > 0——極小(値 −2)。(−1, 0):D = −12 < 0——鞍点。1変数(A4)では x = −1 は極大だったのに、y方向が谷なので峠に化けた——次元が増えると答えが変わる好例だ。
よくあるまちがい
その1:∇f = 0 だけで極値と断定。 鞍点の存在を忘れずに。停留点は「候補」であって「当選」ではない——1変数のとき(x³の変曲点)より罠が多い。
その2:判別式の符号の読みちがえ。 D < 0 が鞍点。二次方程式の判別式(N11)と役割がちがうので、丸暗記でなく「固有値の符号がそろうか割れるか」で理解しておくと混ざらない。
れんしゅう
f = x² + y² − 2x − 4y + 5 の停留点のx座標は?
そのy座標は?
f = x² − y² の原点は?
f = x² + y² の D = fxx fyy − fxy² = ?
D > 0 かつ fxx < 0 のとき停留点は?
f = x³ − 3x + y² の極小値は?(−2 のように書いてね)
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!