ステップ A6-1-2
実数の連続性 — 単調有界列は収束する
この ページで まなぶ こと
- 上界・上限の概念と実数の連続性公理がわかる
- 単調有界列の収束定理をつかえるようになる
実数の連続性——「上に有界な集合には上限(最小の上界)がある」。ここから「増加し続けて上に抑えられた数列は必ず収束する」が出る。有理数だけの世界では成り立たない、実数の本質。
実数の「すき間のなさ」
√2 に近づく数列 1、1.4、1.41、1.414、…を考えよう。単調に増えて、2を超えない。有理数の世界でこの数列の行き先を探すと——ない! √2 は有理数ではないから(N10の背理法)。有理数の数直線には、そこに穴があいている。
実数はちがう。実数を実数たらしめる性質——連続性(完備性)——をこう約束する:
上に有界な(=どの要素もある数M以下の)空でない集合には、上限(最小の上界)が存在する。
| 上界は「全員を上から抑える数」、上限はその中でいちばん小さいもの。{x | x² < 2} の上限が √2——「穴があるべき場所に、必ず実数がいる」という宣言だ。 |
単調有界列の収束定理
連続性から、解析学でいちばん働く定理が出る:
単調増加で上に有界な数列は、収束する。
証明の心:数列の値の集合には上限 α がある(連続性!)。α は最小の上界だから、どんな ε > 0 でも α − ε は上界でない——つまり α − ε を超える項 a_N がある。単調増加だから n > N の項はすべて a_N 以上、かつ α 以下。全部が α の ε 以内に入った——ε-N の定義そのもの ∎
行き先の値を知らなくても、収束することだけは保証される——これがこの定理の凄みだ。
例1 :aₙ = (1 + 1/n)ⁿ。計算すると 2、2.25、2.37、2.44、…と単調に増え、3を超えないことが示せる(二項定理で評価する)。よって収束する。この極限こそ——数 e だ(A5)。eの存在は、実数の連続性が保証していたのだ。
例2 :a₁ = 1、aₙ₊₁ = √(2 + aₙ)。増加で2以下(帰納法——A3——で示せる)だから収束。極限αは α = √(2 + α) をみたし、α² − α − 2 = 0 から α = 2。「収束の保証」があってはじめて、この方程式を立ててよい。
例3(区間縮小法) :中間値の定理(A5)で使った「区間を半分にして絞る」二分法が本当に1点に収束するのも、この連続性のおかげ。左端の列は単調増加で有界——必ず行き先がある。
「当たり前」ではない
この定理、有理数の世界では偽だ(冒頭の√2の列が反例——単調有界なのに有理数の中に行き先がない)。つまりこれは論理だけから出る定理ではなく、実数という舞台の性質。だからこそ公理(約束)として立てる。A4以来使ってきた極限の議論ぜんぶが、実はこの一枚の土台の上に立っていた——それを確かめるのが、この区間「解析の厳密化」の仕事だ。
よくあるまちがい
| その1:上界と上限の混同。 {x | x < 2} の上界は 2 でも 3 でも 100 でもよいが、上限は 2 ただひとつ(最小の上界)。「上限 = いちばん小さい上界」。 |
その2:「有界なら収束」と省略する。 (−1)ⁿ は有界だが収束しない。単調と有界の両方がそろってはじめて収束が出る。
れんしゅう
集合 {x | x < 2} の上限は?
単調有界列の収束定理の条件は?
有界なのに収束しない数列の例は?
(1 + 1/n)ⁿ の極限は?
a₁ = 1、aₙ₊₁ = √(2 + aₙ) の極限は?
「単調有界列は収束する」が有理数の世界で偽になる理由は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!