ステップ A6-5-2
微積分学の基本定理の証明
この ページで まなぶ こと
- 面積関数の微分が高さに戻ることを ε 論法で証明できる
- 基本定理の2つの形(微分形・計算形)の関係がわかる
面積関数 S(x) = ∫ₐˣ f(t)dt について S′(x) = f(x) を証明する。増分 S(x+h) − S(x) は幅hの帯——高さは f(x) にいくらでも近い(連続性)。だから ∫ₐᵇ f = F(b) − F(a) も出る。
主役の再登場
A4で「歴史を変えたショートカット」と呼んだ微積分学の基本定理——面積は逆微分で出る。あのとき与えた直観の説明を、今日は証明に変える。道具はすべてそろった:ε 論法、連続の定義、平均値の定理。
主張(微分形) :f が連続のとき、面積関数 S(x) = ∫ₐˣ f(t)dt は微分可能で——
\[S'(x) = f(x)\]証明 — 帯の高さを絞る
S′(x) の定義(A4)に戻る:
\[\frac{S(x + h) - S(x)}{h} = \frac{1}{h}\int_x^{x+h} f(t)\, dt\]分子は「x から x + h までの帯の面積」。この帯の中で f は最小値 m と最大値 M の間にある(最大値の定理——閉区間・連続!)。面積は幅×高さで挟めるから——
\[m \le \frac{1}{h}\int_x^{x+h} f(t)\, dt \le M\]さて h → 0 とすると、帯は点 x に潰れていく。f の連続性(ε-δ!)により、その帯での m も M も f(x) に収束する。はさみうち(A5)で——
\[S'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{S(x+h) - S(x)}{h} = f(x) \quad ∎\]「面積の増える速さは、その場の高さ」——A4の直観の一語一語が、定理と公理で裏打ちされた。
計算形も従う
F を f の任意の原始関数(F′ = f)とする。S も原始関数だから、S − F は微分が0——平均値の定理の帰結(このたんげんで証明済み!)により定数。S(a) = 0 に注意して定数を決めれば——
\[\int_a^b f(x)\, dx = S(b) = F(b) - F(a)\]A4からずっと使ってきた計算規則 [F(x)]ₐᵇ の、これが正式な保証書だ。
振り返れば、一本の道
証明に使った部品を並べてみよう:実数の連続性 → 最大値の定理 → 平均値の定理・連続の ε-δ → 基本定理。土台の公理から最上階の定理まで、一本の柱が通っている。
たし算から出発した数学ハイウェイは、いま「微分と積分が逆演算である」ことの完全な証明に到達した。ここから先——多変数(A7)、複素解析、確率論——はこの柱の上に建て増しされていく。解析学の一階部分、竣工だ。
よくあるまちがい
その1:連続性はどこで使ったか、と問われて詰まる。 帯の m、M が f(x) に収束するところ——不連続な関数では帯の高さが暴れて S′(x) = f(x) が崩れうる。条件は飾りではない。
その2:原始関数の一意性を無条件に主張。 一意なのは「定数差を除いて」。その根拠が平均値の定理——+C のしっぽ(A4)は理論の要請だった。
れんしゅう
基本定理(微分形)の主張は?
帯の面積を m と M で挟んだあと、m、M → f(x) を保証するのは?
「S − F が定数」の根拠は?
S(x) = ∫₀ˣ t² dt のとき S′(2) = ?
S(x) = ∫₀ˣ sin t dt のとき S′(π/2) = ?
証明の連鎖として正しい順序は?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!