ステップ S2-2-3
背理法 — √2は 無理数である
この ページで まなぶ こと
- 背理法のしくみがわかる
- √2が無理数であることの証明を理解する
「成り立たないと仮定すると矛盾が起きる。だから成り立つ」——これが背理法。√2を分数と仮定すると、約分をめぐる矛盾が爆発する。
「もし違うとしたら」から始める
背理法(はいりほう)は、こんな筋書きの証明だ。
- 証明したいことが「成り立たない」と仮定する
- その仮定から、論理と計算で矛盾(ありえない結論)を導く
- 矛盾が出たのは仮定が悪かったせい。よって、もとの主張は成り立つ
犯人でないことを示すのに「私が犯人だとしたら、その時刻に2つの場所にいたことになる。ありえない」と論じるアリバイ証明——あれが背理法だよ。
約束の証明 — √2は無理数
N10章で予告した証明を、いま果たそう。
主張:√2 は無理数である(分数では表せない)。
証明:√2 が有理数だと仮定する。すると√2はこれ以上約分できない分数で書けるはずだ(どんな分数も約分しきれる——N5章)。
\[\sqrt{2} = \frac{p}{q} \quad (p、qは整数で、これ以上約分できない)\]両辺を2乗して分母をはらうと——
\[2q^2 = p^2\]左辺は偶数だから、p²は偶数。すると前ステップの結果(n²が偶数ならnは偶数)より、pも偶数だ。そこで p = 2k とおいて代入すると——
\[2q^2 = 4k^2 \quad \rightarrow \quad q^2 = 2k^2\]今度はq²が偶数、よってqも偶数。
……待ってほしい。pもqも偶数なら、p/qは2で約分できる。「これ以上約分できない」という仮定と真っ向から矛盾する!
矛盾が出た。だから最初の仮定「√2は有理数」が誤りで、√2は無理数である。∎
この証明の味わい
たった数行で「分数では絶対に書けない」——無限にある分数のすべてを一度に排除してみせた。しかも道具は、約分(N5章)、偶数の証明(このたんげん)、そして論理(S1章)だけ。いままで学んだことが全部つながって、数学史に残る名証明が読めたんだ。
紀元前のギリシャでこの事実を発見した学派は、あまりの衝撃に秘密にしたと伝えられる。きみはいま、その秘密を自分の頭で確かめたことになる。
れんしゅう
背理法の第一歩は?
√2の証明で、2q² = p² からまずわかることは?
√2の証明で最後に矛盾したのは、何と何?
「素数は無限にある」を背理法で示すなら、どう仮定する?
「√2 + 3 は無理数」を背理法で示すとき、有理数と仮定して矛盾させたい。カギになる計算はどれかな?
もっと れんしゅう
ボタンを おすと、あたらしい もんだいが でて くるよ。なんかいでも れんしゅう できるよ。
クリア! よく できました!